自叙伝 ~うちの猫③~
こんにちは、フラノスケです。
うちの猫②の続きです🐱
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猫たちが代わる代わる足にすり寄っていくので、おじいさんが猫たちに好かれていることがわかった。
「お詣りですか?空けていて申し訳ない。この子たちのご飯を買い出しに」
その言葉で私たちは気づいた。
「神主さんですか?」
しゃがんでいた彼が立ち上がり、姿勢よく尋ねる。
「はい、神主です😊」
穏やかな口調に、白い髪はきちんとまとめられていて、おでこと目じり、頬には深いシワがあって、なんとなく安心できる雰囲気を感じた。
「あの、お詣りじゃなくて、こちらで野良猫を保護されていると聞きまして。。。」
私は参拝以外の目的で神社を訪ねたことに、少し申し訳ない気持ちになった。
「そうでしたか。最近はこの子たちに会いにいらっしゃる方が増えました。
保護というより、手助けに近いかもしれません」
足元でゴロンと寝転んでいる猫たちとアイコンタクトをしながら、神主さんはこの神社と猫たちの話をしてくれた。
もともと辺りにいた野良猫たちが、夜になると神社でいわゆる猫の集会をしていて、そのうちの1匹が神社の倉庫の中で仔猫を産んだ時に、手助けをしたことから始まったこと。
今では保護団体や近所の動物病院と連携して、譲渡会や不妊・去勢手術をすることで野良猫を増やさない活動をされていること。
その話の中で、不妊・去勢手術をした猫はその印として耳をカットされていると知り、最初に会った猫の耳はそういうことだったのかと納得した。
意識して見ると、ジジと勝手に名付けた黒猫を含め、ほとんどの猫たちは耳をカットされていた。
「そんな事情があることを知りませんでした。
お話して下さって、ありがとうございます」
何か思うことがあったのか、彼が真剣な顔で神主さんにぺこりと頭を下げた。
「ありがとうございました」
つられて私もぺこりする。
「こちらこそ、年寄りの話を聞いてくれてありがとう。」
神主さんだとわかってから、どこか身構えていた自分がいたが、目の前にいるのはどこにでもいる優しいおじいさんに見えた。
「そろそろこの子たちのご飯の時間で。
日が沈むとこの辺りは暗いから、早めに帰るようにしてくださいね」
ご飯という言葉で猫たちが起き上がり、神主さんの足にまた代わる代わるスリスリしながら歩き始めた。
「ちゃんとわかってるんだね😁」
神主さんについていく猫たちを私は手を振りながら見送った。
「ご飯だって。行かなくて良いの?」
隣の彼が誰かに話しかけている。
下を見ると、ジジと名付けた黒猫がまだそこにいた。
→ 次回に続く